2002/10/10
歩き煙草禁止条例の話2
続きです。
例えば「空き缶ポイ捨て禁止条例」や「煙草ポイ捨て禁止条例」の場合、20000円程度の科料がありますが、これには法的根拠が存在します。実際の法的根拠がどれなのかについては詳しくは調べておりませんが、少なくとも道路法第43条には「みだりに道路を損傷し、又は汚損すること」を禁止する文章があり、同第100条にはその場合の罰則として「1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する」と記載されています。あるいは軽犯罪法には第1条27に「公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物又は廃物を棄てた者」という文章があり、これを適用したということも考えられます。ですから煙草や空き缶を捨てて「道路を汚損」したものに対して道路法か軽犯罪法、あるいはそれ以外の法律の範囲を越えない金額の科料を行うことができるわけです。しかし、歩き煙草禁止条例の場合、煙草を捨てていないため、これらの法律をもって科料することができません。もちろん歩き煙草を行えば、どんなに携帯灰皿を上手に使おうと灰は落ちるじゃないか、道路を汚してるじゃないか、という反論もあるでしょうが、その程度では汚損とは見なされませんし、ごみを棄てたともみなされません。これが認められると埃まみれの人は(埃が落ちるので)町を歩いてはいけないとか、わけのわからないことになるでしょう。もちろん、歩き煙草をして、その火が他人に火傷を負わせた場合は過失傷害が適用されるでしょうが、それは今回の条例が制定されなくても適用されることです。つまり、ポイ捨てせずに携帯灰皿を持ちながら歩き煙草をしたというだけでは法的に科料することはできません。法律適用範囲を越え、「任意」での罰金以上の行為を科せば、むしろ地方自治体の違憲立法になってしまうのです。
これをどうにかするには、法律を変えるしかないでしょうね。国の重要収入源である煙草税を削り、かつ喫煙者の反感を買ってまで法律を変えようとするような政治家が日本に存在しているかどうかは別の話として。


 

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