2002/09/12
痴漢冤罪事件の話2
続きです。
これは単純に政治的な理由からとしか考えられません。まさか、本気で司法が正統な理由「だけ」で「正しく」判定していると思っている能天気な人はいないでしょうが、日本においては、今までも何度もあったのですが、このようなおかしな判決が出るときには必ず世の中の風潮が関係しています。今回の事件の場合、男性の主張が認められ、女性側が敗訴してしまうと、どういうことが起こるでしょうか。単純に考えても、今後、実際に痴漢行為があったとしても、女性側から被害を訴えることが難しくなることは判ると思います。ただでさえ、女性専用車両を作るほど痴漢行為に対して敏感な世情であり、女性が被害を訴えにくい状況において、その上さらに訴えたら逆にお金を取られるという事態にでもなろうものなら、まず、女性は泣き寝入りせざるをえなくなります。そうなると、今以上に痴漢犯罪が横行することは目に見えています。そうすれば、その恨みは司法に向けられ、最終的には政府の無策(実際どんな策があるのかなんてのは関係無い。不満を向ける矛先があればいいのだから)にまで向けられる可能性があります。司法の独立などという幻想など、現実にあろうはずもなく、今回のように、明らかに無罪であり冤罪であっても、刑事裁判での無罪という「痴漢にあったかあってないか判らない女性に被害が及ばない範囲」での判決は出せても、民事裁判では「痴漢にあっていなさそうな女性(5回も示談に成功するだけの行動力がありながら「内気」だそうだ)であっても、風潮を配慮して被害が及ばない範囲」での「女性無罪」という判決しか出せないのです。それが今回の判決のからくりでしょう。
男性は控訴するとしていますが、以上の理由より、恐らく判決が覆ることは(よほど、動かしようのない証拠が出ないかぎり)ないでしょう。今回のこの判決は、男性はもちろんですが、本当に痴漢に遭っている女性まで、(断定はしないが)金目当てかも知れない、この女性と同じ目で見られてしまうという、双方にとって不幸な判決だったといえると思います。


 

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