2002/06/21
ジャンプで地震の話5
続きです。
衝撃は一種の波動です。ある点から波動が発生すると、そのときの波動の力は距離の二乗に比例して弱くなります。これは静かな水面に水滴を垂らしてみるとわかります。最初に点として発生した波は周囲に広がります。最初に点であったエネルギーが、円周上になるわけですから、その円周のある点での波のエネルギーは円周分の1に減っていなければなりません。円周は円周率×半径の二乗です。よって半径が広がればその二乗に比例して波動の力は弱まるわけです。実は私はこの逆二乗の法則は、これでもまだ足りないと思っています。何故なら、着地した瞬間に広がるエネルギーは円形ではなく、球形に広がるはずだからです。よってエネルギーは三乗に比例して弱くなるはずだと思います。また、地面が伝える波は100%ではありません。地面は柔らかく、その柔らかさ故に波の力を弱めます。波動は硬いものほどよく伝わります。雨が降っている日に普段は聞こえない電車の音が聞こえたりするのは、空気よりも硬い水のほうが波動を伝えるからです。理由はこれだけではありません。地面の凹凸は、波動の方向を微妙に変化させ拡散を妨げます。おまけに、同時ジャンプによる横方向に伝わる波は、隣の人の発生させた波と、うまく増幅されればいいのですが、大抵の場合はお互いに干渉しあって中和されてしまうはずです。よって、実際のエネルギーとしては大したことが無いという結果になるわけです。
さて、最初の中国の話に戻りましょう。中国の人口はおよそ13億です。平均体重が50キログラム、重力加速度を9.8として一斉にジャンプし、そのエネルギーが全て干渉せずに伝わったとしましょう。このときに発生するエネルギーを求めてみようということです。これは約3800億ジュール(しつこいようだが離陸と着陸で2倍になっていることに注意)となります。これを地震のエネルギー(エルグ)に変換すると、1.8×10の18乗程度になります。これはマグニチュード4.3程度です。原爆1個でマグニチュード6ですから、アメリカどころか日本に影響を与えるのも無理でしょうね。
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