2002/06/19
ジャンプで地震の話3
続きです。
ここで中国人が全員でジャンプ・・・の話に戻しましょう。この話であまりに荒唐無稽、非科学的で馬鹿馬鹿しく、すぐに嘘だと判るのは、ひざを曲げるとエネルギーが吸収されると言っていることです。膝を曲げようと曲げまいと、結果的に地上から離れた距離(つまり稼げた位置エネルギー)分のエネルギーが地面に加わりますし、また着地する際にひざを曲げても、吸収されるのはあくまで自分に跳ね返ってくるエネルギーに過ぎません。むしろ着地する際にひざを曲げたほうが、体の移動距離が大きくなり、その分だけ大きな運動エネルギーが得られます。ちょっと判りにくいので判り易く説明しましょう。理論上の話で現実性はありませんが、1メートルの身長の人がまっすぐの状態で30センチジャンプし着地した場合を想定します。このときの頭と足先の移動距離はどうなるでしょうか。頭も足先も、単に30センチ上昇し、30センチ下降するだけです。この移動分がエネルギーとなります。では、ひざを曲げて頭を70センチの高さまで持っていき、ジャンプしたときは真っ直ぐ、降りたときもひざを曲げて70センチの高さになった場合の移動距離はどうなるでしょうか。足先は変わらず30センチしか移動しませんが頭は70センチの高さからスタートし、130センチまで移動してまた70センチの高さになりますから、60センチ上昇し、60センチ下降するように感じますが、実際には足が離れた瞬間は体が伸びていますので頭の高さは100センチからスタートします。よって、30センチ上昇し、60センチ下降します。ジャンプする瞬間のエネルギーはジャンプし終わったときのエネルギーよりも小さくなるのです(増加したのは着地時に頭が失った30センチ分の位置エネルギーに等しい)。だから、着地したときにひざを曲げたほうがエネルギーが稼げるというわけです。今回は理論値として、ひざを曲げない状態でジャンプしたときのエネルギーを計算したいと思います。
続きます。
2003/01/20:訂正
ジャンプする瞬間のエネルギーはジャンプし終わったときのエネルギーよりも小さくなる件について。
もちろんエネルギー保存則は適用されるため、正確にはジャンプする瞬間のエネルギーはジャンプし終わったときのエネルギーと等しくなる。にも関わらず、小さくなると表現したのは、位置エネルギーだけに注目したためのミス。
すなわちジャンプし始めた瞬間のエネルギーの一部は、運動エネルギーとなっている。この運動エネルギーは頭を30センチ上昇させるときに地面にかかる作用/反作用の力の積に等しくなる。よって、正しくエネルギーを計算するならば、足が離れるまでに地面にかかった力積+30センチ上昇したことによる位置エネルギー=60センチ下降した位置エネルギーが成り立つ。はず。
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