2002/02/15
デマは諸刃の剣の話1
デマは大衆を扇動できる手段としてはコストパフォーマンスが抜群に高い方法なのですが、そのぶん、そのタイミングや準備などに高度なテクニックを要求する行為でもあります。あまりにしょうもないデマは飛ばせば飛ばすだけ逆効果を及ぼし、本来の戦略に大きな支障をきたすだけです。デマというのは諸刃の剣であり、そのためにデマをいかに上手に使うか、また言質を取られないようにするかを研究する必要があります。
例えば、テーブルトークにも書きましたが、最近起こった事件として、ある歌手の暴言騒動に関してが挙げられます。あれは初期段階で暴言を吐かれたものを体の不自由な人に設定するというデマを飛ばしてしまったことで扇動効果を狙ったようですが、そのことがむしろ相手に反論の余地を与え、それ以外の可能性(当日、別の場所にいた、別の座っていたファンが周りのファンによって攻撃されたという可能性)をうやむやにしてしまいました。これはデマによって本当の効力(誰が言われたかではなく、何を言ったのか、またそれによってどういう影響が起こり得たか)が無効にされてしまった失敗例として長く記録されるべき事件でしょう。同様に現在の2ちゃんねるに対するSYNflood攻撃も、誰だかわかっていない時点で特定の人種や人物を槍玉に挙げることは、戦略的には極めて損なやり方であり、また、効果も極めて低いと言えます。例えば今回の攻撃が、ある特定の国の民族によってなされているというデマがまことしやかに流れているようです。このデマがデマたる所以は攻撃がSYNfloodという、相手がわからないようにする攻撃方法であることと矛盾することや、攻撃用ツールとして出回っているものが、完璧に日本語であり、そのドキュメントにもなんら誤字や日本語的な文法ミスが見つかっていないことなどが挙げられます。とはいえ、これが真実である可能性も無いとは言えません。にも関わらず、やはり今の段階では得策ではありません。
続きます。


 

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