2001/12/06
アイスクリームとシャーベットの話1
中学時代の音楽の授業で習った曲で、いまだに印象に残っている曲があります。それは「アイスクリームの歌(作詞:さとうよしみ/作曲:服部公一)」というものです。歌詞を完全には覚えていなかったので検索したところやっと歌詞がわかりました。歌詞はおとぎ話の王子や王女でも昔は食べられなかったアイスクリームを食べられるというたあいもないものなのですが、本当におとぎ話の時代にアイスクリームは存在していなかったのでしょうか。
そもそもおとぎ話の世界というのの年代を推測することは困難ですが、少なくともヨーロッパで王朝が誕生した後なのは間違いがありません。ヨーロッパ最古の王朝となると紀元前3000年ごろのエジプトで、メネス王の第一王朝となりますが、さすがにこれをおとぎ話の時代と考える人はいないでしょうから、中世ヨーロッパをベースに考えると、中世とはゲルマン移動(紀元400年ごろ)から百年戦争(紀元1400年ごろ)あたりの時期となりますが、これもまたずいぶんアバウトで幅広い(一世紀どころか一千年紀!)話です。まあ、一応中世であればOKということにして、余裕を持って1300年としておきましょうか。では紀元1300年にアイスクリームは存在していたのか、ということになりますが、今度はアイスクリームというものを定義しなければなりません。なにせ、シャーベットとアイスクリームは異なるもののはずですから。アイスクリームとシャーベットの違いについて調べてみると、どうも原材料が異なるという結論にたどり着くようです。つまり乳(動物)を使っているのがアイスクリームで、果物(植物)を使っているのがシャーベット。この関係はバターとマーガリンに近いものがあります。さて、アイスクリームの歴史を調べてみると、なんとおとぎ話よりもはるか前にアイスクリームが存在していたことがわかりました。それは旧約聖書です。前に書いたヨシュア記の中にカナンの地に対して「乳と蜜の流れる地」という表現がありますが、このころから既に乳と蜜を混ぜたものを氷雪で冷やしたもの(=アイスクリーム)を食べていたということがわかっています。
続きます。


 

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