2001/11/19
しし座流星群の話
今夜あたり、しし座の流星群がやってきます。このニュースを聞いて、おや?と思った人もいると思います。私もその一人です。たしか1998年にしし座流星群が現れて、このときにこれは33年に一度、と言われていたはずです。にも関わらずたった3年しか経っていない今年に流星群がやってくるなんて、じゃあ33年に一度というのは何だったんだ、詐欺じゃないのか、と思って調べてみるとやはり詐欺でした。
しし座流星群の最初の記録は実に1000年以上も前の記録です。902年に中国でしし座流星群らしきものを見たという記録が残っているのです。それから遥かの時を経て、1799年に西洋でも流星群の観測が行われており、1866年にはその周期が33.17年と確定されました。しかし、1899年、1900年と流星群はやってきませんでした。そしてそれからしし座流星群のもととなるテンペルタットル彗星は、行方不明になってしまったのです。この彗星が次に観測されるのは1965年のこと。それまで迷走していた彗星が実は軌道を微妙に変えていたことがわかりました。次に流星群の増加が確認されたのは1994年のことです。おや?33年周期が崩れ去っていますね。実際、1995年と1996年には出現度数が増加していることがわかり、1998年に例の大流星群が観測されたわけですが、実はそれ以外の年にも流星群はやってきているということがわかっていたのです。それが大彗星群になるためにはもちろん地球の付近を通過しなければならないのですが、直接彗星がいなくても、彗星軌道上に彗星の破片であるダストトレイルと呼ばれる物質があるため、これが落下するタイミングで小規模ながら、流星群が起こるのです。つまり1998年の時点で既に33年に一度ということがないことはわかっており、あれは嘘だったのです。ただし、大流星群ほどの明るさは確保できず、最高でも2等星程度。流星群と呼ばれるほどの規模を観測するには実に6等星規模の明るさでも見えるような場所が必要ですが、そんな場所はまず見つかりませんよね。
どうやら今年の流星群は2、3個見えればラッキーで、大山鳴動してねずみ一匹、という落ちがつきそうです。
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