2001/10/12
紅茶の淹れ方の話
美味しい紅茶を飲むというのは実に大変なことです。
例えば水。紅茶を入れる場合に最も適しているのは、いわゆる軟水です。軟水というのはミネラル分の特にカルシウムとマグネシウムの量が少ない水です。実はヨーロッパでは飲める水は硬水が主で、軟水は数えるほどしかありません。そのため、ポットのための一杯などと言って余分な茶葉を使わなければならないほどです(日本でもたまにこの風習を書いている本がありますが、それは水質の差を考えずに闇雲に向こうのやり方を盲信しているからで、よほど特殊な大型リーフでも使わない限りは不用です)。日本の水はほとんどが軟水ですから、日本はヨーロッパより紅茶を入れるのに適している国なのです。余談ですが軟水はビール用の水としても適しており、ドイツのビールが有名なのはヨーロッパの中でも軟水の出る国だったりするからなのです。さて、いよいよ紅茶を淹れることになります。紅茶を淹れる際に重要なのはまずティーポットを充分に温めておくことです。次に茶葉の分量はきちんと量ることが重要です。最後に抽出時間をきちんと守ることです。この三つが守れていれば紅茶は美味しく入ります。実はこれには理由があり、ジャンピングという、茶葉をお湯の中で上下運動させる行為が紅茶の淹れ方の決め手になるためなのです。ジャンピングをうまく行うためには上記のことを守ることが重要なのです。ポットにお湯を注ぐとき、高い位置からお湯を注いでいるのをテレビなどで見たことがあると思いますが、あれもジャンピングを促進させるためなのです。こうしてジャンピングされた紅茶は茶葉の広がりがスムーズになり、むらがなくなり、きれいに膨らみます。よってこの世の中で最も最悪の紅茶の淹れ方は、たまに見掛けるガラスで出来た機械で上から葉を押し付けて抽出するもの(メリオール)。あれは本来はコーヒーを淹れるための道具で、紅茶の茶葉を圧迫して膨らませなくし、茶葉本来のうまみを粉々にし、まずくするために作られた道具ではありませんので注意を。
明日からは紅茶の名称についての話です。


 

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