2001/05/26
上杉鷹山の話5
昨日の続きです。
革新政策に追従する者が続出するようになって追いつめられた保守派はクーデターを起こしました。七人の重臣が上杉鷹山を一室に監禁すると革新政策の大批判書を献上します。内容としては改革派を全員解雇し、自分達保守派を登用し、藩政を元に戻せというものでした。この七人は自分達の辞職という切り札をもって上杉鷹山を脅迫します。そこで上杉鷹山がたった一つだけ質問をします。それが彼等七人の意見なのか、と。この罠に七人は見事に引っ掛かります。彼等はこれは藩士総員の意見だと答えました。上杉鷹山は先主の意見を聞くと言って席を立とうとしますが七人が上杉鷹山を逃がさないように取り囲み、そのうちの一人が上杉鷹山の手を掴んでいました。ここであの佐藤文四郎が登場します。彼は上杉鷹山を掴んでいる重臣の手を打ち払い、その隙に上杉鷹山を逃がします。難を逃れた上杉鷹山は全藩士の登城を命じました。上杉鷹山があの宣言をして以降一度も無かった全藩士登城の命に皆が慌てて集まりました。ここで上杉鷹山は批判書の中身を説明し、藩士に問います。お前達はどう思っているか、と。結果は今の政策を推し進めるべきだという意見で満ちていました。このときに旧来の政策に戻すべきだという保守派よりの意見は一つも出なかったと言います。さて、くだんの七人は上杉鷹山に対して、藩士総員の意見と述べていることは書きました。彼等は上杉鷹山に対して虚偽の報告をした罪に問われ、二人は切腹、残りの五人は隠居・閉門、知行の召し上げという厳しい罰を受けました。かつての宣言の中の自分が嘘をつかない以上、他者にもそれを求める、と言った言葉を本当に実行したのです。この見せしめとも言える果断な処分によって、保守反対派は完全にその息の根を止められました。ちなみにこの事件の後しばらく経ってから、この七人の子達には以前の知行を与え直し、家督を継がさせています。このあたりにも上杉鷹山の凄さがわかります。
明日で最後です。
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