2001/05/27
上杉鷹山の話6
今日で上杉鷹山の話も最後です。上杉鷹山の改革は大成功を収めました。米沢藩では棒杭の商というものが成立するほどに豊かになったのです。棒杭の商とは、品物と金を入れる籠を置いて、棒または杭の先に一つ幾らか書いておけば、例えその場にいなくとも誰も金や品物を盗んだりせず、きちんと籠に金を入れて品物を持って行き、収支がきちんと合うという、かなり信じられない話です。貧すれば鈍するというか金持ち喧嘩せずというか、藩民全員が豊かになればそんなところであこぎに儲けなくてもよかったということなのでしょう。
さて、上杉鷹山の成功の原因を考えると有言実行やオープンな政治、主権在民という先進的な発想、優秀な参謀との出会い、そして、それを取りまとめられるだけのリーダーシップといったものが挙げられるでしょう。もちろんこれらが一つでも欠けていれば改革に失敗していたことは言うまでもありませんが、これだけでは改革は成功しなかったでしょう。上杉鷹山の政策の成功の最大の理由は「理由付け」にあると思います。何故それを行うのか、どうしてそれが必要なのか、という理由があり、それを説明することで相手を納得させ、相手が自ら実行するように促すという点が重要なのです。何故木を植えるのか、何故鯉を放すのか。そういった一つ一つの事柄に対してきちんとした「理由付け」があったからこそ、藩士藩民が自らそれを行おうと努力したのです。明治維新後に欧米諸国は日本人を舐めきっていました。その風潮を改めようと内村鑑三という人が「代表的日本人」という本を書いています。この本の中で上杉鷹山のことが書かれ、上杉鷹山という人物は日本国内よりもむしろ諸外国で有名となりました。ケネディは「日本人として尊敬できる人物は上杉鷹山である」と語ったと言われています。
ひるがえって今の日本の政治家はどうでしょうか。上杉鷹山を知っている人がいるのでしょうか。知っていても実現はできないでしょうけれど。なにせ有言不実行、密室政治、主権不在、無能な参謀、理由無き実行に取り囲まれていますからね。
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