2000/12/03
あやふやな記憶の話
貴方は自分の過去の経験が本当に経験していることだと自信を持って言うことができますか?私には言えません。
アメリカでの話になりますが、こんな実験があります。大学生百人に対して、サクラを用いて彼が子供のころに迷子になって大騒ぎになったという話を彼の親なり親戚なりにしてもらいます。半年後、どうなったでしょうか。その大学生百人に対して、こんな問題を出してみました。貴方は子供のころに迷子になったことがありますか、それはどんな状態でしたか?結果は百人全員が自分は迷子になったことがあると答え、しかもそれがどんな状態だったかを場所やその解決まで、事細かに書いたのです。その後の心理テストなどでも、この百人の大学生全員が一人も嘘を言っていない(と本人が思っている)ことがわかっています。つまり後から植えられた記憶を本当の記憶と信じ込んだのです。人間の記憶はこのように大変あやふやなものであり、たとえば親から自分の過去を聴かされればそれが自分の記憶とされてしまいます。私も自分が小さい頃の話をいくつか親から聞かされていますので私が持っている小さい頃の私の記憶がもともとの記憶なのかそれとも後から植え込まれた記憶なのかはわかりません。唯一確実に私が自分の記憶だと言いきれるのは実に五才になってからのものです。この記憶が後から埋め込まれたものではないと言いきれるのははっきりした証拠があるからです。具体的なことは書きませんがどういう証拠かというと、それから何年も会わなかった当事者と私の二人以外は誰もそのことを知らなかったということ、またその記憶に対する物的な証拠が出てきてしまったということからです。つまり誰もその記憶を後から植え付けることができなかったわけです。
さて、貴方は小さい頃はどんな子でしたか?それはちゃんと覚えていますか?それはたしかに貴方の記憶ですか?本当に自信を持って自分の記憶だと言えますか?もしかして誰かに記憶を植え付けられていませんか・・・


 

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