2000/12/02
インテルとAMDの話
前に書いたことがあると思いますが、よく行われることがインテルとAMDの関係をインテルという大会社に対してベンチャーのAMDが戦いを挑んでいるという構図でとらえることです。しかし、これは大きな間違いです。
たしかに現在の両社の状態を調べてみますと、AMDが総従業員数一万ちょっとに対して、インテルの総従業員数は七万人以上にものぼり、圧倒的にインテルのほうが規模が大きいです。ほれみたことか、やはりAMDは小さいながらもインテルと互角に戦っている偉い会社じゃないか、とは思わないで下さいね。ちょっと創業時の状態を比較してみましょう。AMDは創業が1969年。バックボーンはフェアチャイルドセミコンダクタ社です。フェアチャイルドセミコンダクタ社というのはあのサムソンのパワーデバイス部門を四億ドル以上だして買い取ってしまうような大会社です。つまりAMD自体はその巨大コンツェルンのメンバーとしてスタートしているということです。これはどうひいきめに見てもベンチャーじゃありません。せいぜい大手子会社です。ではインテルはどうなのでしょうか。インテルの創業は1968年。AMDよりも一年前になります。こちらは何のバックボーンもなくいきなりベンチャー会社として旗揚げしました。それからたった三十年であの規模になったのですから、これはもはやベンチャー会社の鑑と言うしかありません。つまり、単純にAMDとインテルを比較するとAMDという大会社にインテルというベンチャーが戦いを挑み、勝ったところという図が見えてきます。そして大会社AMDは遂にその本性を現わして全力でインテルを叩き潰しにかかっています。
最後にちょっとだけ因縁話を。インテルの創業者、ゴードン・ムーア氏は実はフェアチャイルドセミコンダクタ社の技術者だったんです。時間軸順に見ると、ゴートン・ムーア氏がフェアチャイルドセミコンダクタ社を抜けてインテルを設立、その一年後にフェアチャイルドセミコンダクタ社の出資を受けて競合会社であるAMDが設立。これは一体何を意味しているのでしょうね。私にはまったくわからないや。
補足:2002/8/26
テーブルトークのポリシーを読まずに騒ぐ人が多いので。
AMDがfairchildの子会社というのは私がspin-off(一般的に親会社が子部門や子会社を独立させること。別会社を設立するときにも用いる)を誤訳した可能性(退職社員が別会社を作った場合もspin-offを使うことがある?ちょっと信じられないけど)あり。それにしても1ドル360円の固定相場、6枚入りのガムが一個20円の時代に10万ドル。現在の価値に換算すると2億円以上の金をどうやって手に入れたんだろう。
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