2000/08/27
浮力の話
昔、テーブルトークRPGのネタで、北極の氷を溶かして世界滅亡を企むマッドサイエンティストを出して、計画は成功したけれど水面は上がらなかった、というネタをやったことがあります。最近北極の氷が溶けたというニュースがありましたので、とあるニュース系サイトで北極の氷が溶けても水位は変わらないのではないかという発言をしたところ、私を含めてほとんどの人が上がらない、と考えていたのですが上がると考えている人がいました。そこで高校のときの教科書で調べたところ意外な答えが出ました。水面は上がります。
浮力は、固体によってどかされた液体の重さに等しい力です。海水の比重を1.1、水の比重を1.0、氷の比重を0.9とします。1リットルの水を凍らせると重さは1キロのままで体積が1キロ/0.9=約1.1リットルになります。この氷を海水に浮かせると、海水1キロ分の体積だけ沈みます。これは1キロ/1.1=約0.9リットルです。つまり0.9リットルは水中に、0.2リットルは水上にある(浮いている)状態になります。どかされている体積は0.9リットルしかないのです。この氷が溶ければ1リットルになりますから、差し引き0.1リットルだけ水面が上昇します。水と氷の場合には1.0リットルが水中に、0.1リットルが水上にある状態となります。この氷が溶けると1リットルになりますから、水面は変わりません。海水と海水を凍らせた氷の場合でも同じことです。1.1キロの海水氷を海面に浮かべれば、沈むのは1リットル、この氷が溶ければ1リットルになりますから水面は変わりません。
昔、おばさん宅配系科学雑誌(ってあれしかないと思いますが)の漫画で浮力の話が書かれていたのを覚えています。ジュースに氷を浮かべて、マジックでラインを引いておいて氷が溶けたらマジックのラインまでしかジュースがなかった、誰か飲んだんだろう、という話で、実は浮力の原理で水位は変わらないという話でした。でも、ジュースの比重って水よりも重いですよね。ということは、やっぱり誰かが飲んだんです。シルクハット・・・


 

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