2000/08/26
急性前骨髄性白血病の話
格闘家のアンディフグ氏が亡くなられました。ご冥福をお祈りします。今回はその病気、急性前骨髄性白血病を説明します。
急性白血病とは芽球(白血球や赤血球、血小板になる前の細胞)が白血球に分化(未熟細胞が成熟細胞になること)するときに癌化する病気です。白血病によって作られる癌化された白血球は実はあまり悪さはしません。というか何もしないのですが、それが問題なのです。癌化した白血球は本来の白血球の働きすらしません。そのため、正常な造血細胞が抑えられ、正常な赤血球やちゃんと働く白血球などが減少することに問題があります。急性があるのだから慢性もあります。この違いは病気の進行速度によって決められるのではありません。白血病細胞が未熟細胞からできているのが急性、成熟細胞からできているのが慢性です。未熟細胞でできているほうが症状がひどく、また、予後が悪いため、急性と呼ばれます。小児急性白血病は一般にリンパ球白血病が多いのですが、成人の場合は骨髄性白血病が多いです。原因はまだ不明です。先天性免疫不全症(私の場合、他人事ではない)や染色体異常を伴う先天性疾患で起こるとか、放射線や抗がん剤による副作用として起こる場合もあるようです。この癌も実は初期段階では完治する可能性が高い癌です。急性前骨髄性白血病に対する治療は、まず抗がん剤による化学療法が試されます。しかし、初期でなければ、まずは抗生物質などの支持療法で改善してから化学療法が開始されることもあります。また、血液に入った抗がん剤も脳や脊髄には行き渡りにくいので、腰の中心部より細い針を入れ抗がん剤を髄液の中に入れる場合もあります。さて、通常癌化した細胞は元の白血球に戻ることはありませんが、唯一の例外があります。、急性前骨髄性白血病だけはある薬品を使用することで正常白血球に分化させることができるのです。
アンディフグ氏の場合は前骨髄性白血病でしたので早期発見できていれば他の白血病に比べて投薬によって治癒できた確率が高かったのです。本当に残念です。
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