2000/04/14
横紋筋融解症の話
横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう)というのを聞いたことのある人はほとんどいないと思います。この病気は簡単に言うと瞬発力をつかさどる筋肉(赤い筋肉とか言われてますね)が溶けてしまうという病気です。有名なのは薬の副作用による症状ですが、私の場合は違います。もう一つの理由です。実は水泳によって発生するのでも有名な病気なのです。私はだいたい1キロなら休憩無しで泳げますし、潜水も25メートルならいけます。元々水泳を習っていましたのでクロールからバタフライまで泳げます(得意なのは背泳)。その自信が過信に繋がったとき、この病気になったのです。
状況を説明しましょう。私は1年ほど水泳をほとんどしていませんでした。それどころか特にスポーツもしていませんでした。その状態で区営プールに出かけ、ろくに準備運動もせずに1時間で約1キロ程度一気に泳ぎました。500メートルほど泳いだときに、体に異常(だるさ)は感じられましたが、久しぶりの運動で筋肉が驚いているのだろうと、気にもとめませんでした。そのまま1キロ泳ぎ、そのときには特に症状もなく、家に帰ってトイレに入ったら尿が茶色いんです。びっくりして即採血してもらい、ですが特に体調に異常はなく、次の日の朝から会社に出かけたところ病院から電話があり、横紋筋融解症のため即帰宅、絶対安静を命じられました。血液データにCPKという、血液中に溶けている筋肉の量みたいな測定項目があるのですが、このときの私のCPKは7600という値でした。正常値は50程度、つまり2年分の筋肉を一夜にして溶かしたのです。これは全身大火傷で運ばれた救急患者に匹敵する値です。
本来、人間の筋肉は酷使されると熱を持ち、その結果体が物理的に動かなくなります。ですから普通のスポーツで横紋筋融解症になることはほとんどありません。ところが水泳の場合、水によって筋肉が冷やされるため、物理的な要因では動かなくならないのです。そのため、この状態でさらに横紋筋を酷使すると横紋筋が本来消費するはずの糖分が行き渡らなくなり、栄養素として自分自身を利用します。そして私のように横紋筋融解症になるのです。
結局、無理せず、休みながら運動しないとかえって体を壊すという馬鹿の見本になってしまいましたね。
前 後
Topへ