2000/02/27
確率統計と実験の話2
続きです。今回は比較実験にスポットを当てます。
病歴のとおり、私は健康的ではないので薬関係には妙に詳しくなりました。自分の命に関わりますから。西洋医学では二重盲検法というのをよく行います。本物の薬とプラシーボ(偽薬)を用意して、患者に処方するんです。このときにポイントとなるのは医者もどれが本当の薬かわからない、というところです。医者は番号だけしか知りませんしその番号のどれが本物の薬でどれがプラシーボかわからないのです。これはデータの捏造を防ぐために必須の行為です。こうして、その差に明らかに優位性が見られた場合は「この薬は効く」と言えるわけです。
プラシーボで治ってしまう場合、これをプラシーボ効果と言います。前にあおい氏が「栄養ドリンクはプラシーボ」みたいなことを言っていましたが、栄養ドリンクを飲んですぐ元気になる気がするのは微量なアルコールのおかげで、目が覚めた気がするのはカフェインのおかげです。それ以外の成分は効いていません。プラシーボ効果を起こさせるための演出です。
話を戻しましょう。西洋医学は二重盲検法による優位差を重視します。ところが、漢方は違います。飲んだ、効いた、だから優位性がある。こういうことを言うんです。この論法でいくなら小麦粉を丸めて飲ませたら100人中100人が1ヶ月以内に風邪が治った、だから小麦粉は風邪に効く、ってことになります。これ読んで笑った人、この論法は漢方では本当にまかり通っているんですよ。
最近、漢方でも二重盲検法による検査を行うところが出てきました。結果はさんさんたるもののようですが一部は本当に優位性が認められました。ところが、我々にはどれが二重盲検法によって優位性が認められたかわからないですよね。邪推させて頂くなら、データ公開するとそこで扱っている他の製品に優位性がないことがばれるからではないでしょうか。これまた余談ですが「漢方薬に副作用はない」というのは大嘘です。酷い副作用を及ぼす(しかも本当は効かない)ものもありますので注意してください。特にアレルギー体質のかた。私?私は抵抗力がなさすぎてアレルギーにも花粉症にもなりません(本当)。
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