2000/02/26
確率統計と実験の話1
たぶん長くなります。だから恐らく数回に別れると思います。
あるテレビ番組を見ていたら一卵性双子の話が出てきました。酷い番組でした。例えば20組の一卵性双子を用意して、片一方をジェットコースターに乗せ、後でもう一方を乗せて、二人の反応が似てる、なんて言うんですがその似ているポイントが双子によって違うんです。似ている部分を無理矢理引っ張り出してきたんですね。20組の双子のうち、たった1組の双子だけが、片一方がジェットコースターに乗ってる間に気持ち悪くなった、だからこの二人はリンクしているなんて言うわけです。これを検証するにはただの兄弟20組を用意して一人も気持ち悪くならなかったことが必要です。これを比較実験といいます。それを行わずに凄い、なんて言うのはただの馬鹿です。常に一緒にいる双子の子供の場合、相手が見えないだけで精神不安定になることがありますが、そのことはまったく考慮も言及もされていませんでした。
この番組の中で双子は同時に相手に電話することがあるなんて話をしてたらその番組の出演者が、自分も友人とそういうことがあるって言ってしまったんです。これは比較の検証に重要なデータなのですが、それを他の出演者が「意味がない」とかけなしたりして。この後もその双子に4種類のカードを10回選んでお互いに一致するかなんてのをやらせんですが、これまた凄いこじつけで、低い数値が出たときは引いたカードを1つずらせば一致するとか言い出したりしました。これは別にリンクとかではなくて、仲の良い兄弟なら比較的当たるものなんですよ。相手の趣向というか傾向というのを知っていますから。本来は双子ではない兄弟の組との比較データが必要なんですが、それを「完全に他人」のスタッフの組と比較して優位性があるなんて言い出してもデータとしての価値はありません。
所詮はそういう番組でしたから、じゃんけんで馬脚を現すことになりました。双子40組だったか80組だったかで引き分けたら勝ち残りで何組残るか、というのをやったんですが、その時の「完全に他人」の出演者ペアが3回引き分けてしまったんです。この確率は単純計算だと約4%。双子の一組が7回連続で引き分けたからやはり双子には何かあるなんて結論づけてましたが、これまた統計学を知っていれば出ない話です。なんせその時の引き分けた回数の双子の人数分布はきれいに斜め下りの分布でしたから。


 

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