2000/02/28
確率統計と実験の話3
さらに続きです。今度は分布というものを考えてみましょう。
さいころを2つ振ったときの期待値は7です。これはご存知だと思います。では、さいころを振って7が出たとします。次にまた7が出ました。確率通りでしょうか。実は7が2回連続で出る確率はなんと3%に満たないんです。さいころを1回振って2が出る確率や12が出る確率に等しいのです。ちょっと衝撃的ではありませんか?
ここに分布という概念が入ります。さいころを振って2が出る組み合わせは1通り、3が出る組み合わせは2通り、4が出る組み合わせは3通り・・・と増えて7が出る組み合わせは6通り、そこからまた減っていきます。これを棒グラフに書くと、きれいな山になります。さいころを何百回、何千回と振って、出た目をカウントするとだいたい同じような分布になります。これで2だけが明らかに多いようでしたら分布から外れた結果ですので、さいころが壊れているか、いかさまの腕が良いか、神様の気まぐれを疑いましょう。2400回くらい振ってきれいにきっちり分布通りになったとしたらこれまた異常な結果です。
この前書いたじゃんけんの話も、実は何回引き分けたかをグラフに書くときれいな分布になります。1回目で駄目になった人が一番多く、2回目で駄目になった人が二番目に多く・・・と減っていく分布になるわけですね。40組だったか80組だったかではサンプル数としてはあまりに少なすぎてデータを出すことすらできません。しかも、この時に使ったのはじゃんけんという、相手の癖を知っていると有利になるものです。あなたも経験があるのではないでしょうか。あの人は最初必ずグーを出す、みたいな癖がどうしても出てしまいます。双子なら相手の癖を知っていて当たり前なわけで、双子のじゃんけん7回連続引き分けは検証対象にはなりません。残念ながら、心理面を計算するデータがありませんので、理想的な分布を求めることはできませんが、やるとすれば双子ではない兄弟との数値的な比較、しかもサンプル数を10倍以上にしてやる必要があります。
以上、偽の確率論を使って視聴者を騙す番組のトリックの解析でした。そういえば電波少年で猿岩石のやらせが発覚したときに日本テレビの社長は「信じるほうが悪い」とか言ってましたねぇ。



 

Topへ