2002/07/05
2ちゃんねる敗訴の話4
続きです。
これは例えば道端で名誉毀損のビラをばら撒かれた場合、加害者不明だと道路の管理者(つまり国)に責任が及ぶことになってしまいます。つまり、国家や自治体などに賠償請求がなされることになり、国に対して不利な判決は出さない最高裁において、そのようなことが認められるはずがありません。とはいえ、なんらかの制限を設けることで今回のケースだけ有罪判決を出すことも考えられ、恒久的な対策にならないことも確かです。今後このような裁判を起こされないようにするためには、根元から断つしかありません。ではどうすればいいのでしょうか。民法の名誉毀損の根拠を思い出しましょう。社会的評価の低下を招いたという不法行為に対する損害です。つまり、社会的評価が低下しないなら悪口が書かれていようと名誉毀損には当たらないということになるのです。嘘っぽいと思われるかも知れませんが、実際、かつてそのような判例が出たことがあります。通称「東スポ三浦裁判」です。この事件は、東スポの記事によって名誉を毀損されたと訴えた人が、一審で敗訴(ただし二審では勝訴)したという事件で、一審で東スポが無罪になった理由が面白いのです。内容を簡単に説明すると、東スポは、その記事の内容が陳腐であることが広く知られており、興味本位で読まれている信憑性の低いメディアであることが明らかなので、そこで何を書かれようと名誉を傷つけられたことにならないというものだったのです。ちなみに、二審では裁判官の「それは報道の自殺である」という名台詞が出て敗訴しましたが、2ちゃんねるは報道ではありませんから「信憑性の低くかつ興味本位で読まれているメディアであること」を明らかにすれば、名誉毀損には当たらないという判決がなされ得ると思います。
こう考えると、2ちゃんねるの管理人の有名な台詞、「嘘を嘘と見抜けないと(匿名掲示板を)使うのは難しい」というのが、実はかなり深い意味を持っているということに気づかされます。本人がそこまで考えて言ったのかどうかは知りませんけれど。


 

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