2002/07/03
2ちゃんねる敗訴の話2
続きです。
ここで重要なことが2点あります。1点目は、その事実だと信じられるだけの証拠が必ずしも真実である必要は無いという点です。つまり、真実だと思いこまされた虚偽であっても、事実と錯覚するような証拠があり、そう信じて行った行為なら問題無い、ということです。2点目は、公共の利益のためという点です。つまり、何か重大な事実を知っており、それを知らないことで不特定多数の人が不利益を被るような問題を公開したなら、問題無いということになります。ただし、この2つは、「かつ」で「または」ではないのに注意してください。DHC裁判事件で、2ちゃんねるの管理人が診断書を募集した理由が、ここにあります。つまり、DHCの化粧品を用いたことによって、病院にかからなければならないような不利益が発生し、そのことを知らずに第三者がDHCの化粧品を買うことで、同様な被害を受けるかもしれないという「公共の利益」のため、診断書という「事実だと信じられるだけの証拠」をもとに書いたものには名誉毀損が適用されないということです。今回の裁判でも、この例外規定をもとに、反証を行ったようです。さて、今回の事件を見ると、かつて係争された通称「ニフティ名誉毀損事件」を思い出します。この事件は、電気通信事業主の不削除責任が名誉毀損に当たるかという点で大いに注目されましたが、一審でニフティ及び掲示板管理人が敗訴したことが大きなニュースになりましたので知っているかも知れませんが、二審でニフティ及び掲示板管理人が逆転勝訴という劇的な結末を迎えたことは、意外と知られていないようです。このケースで争われたのは、管理者の削除権限が正しく使用されたかという点で、一審判決において、管理者が、書きこまれる発言の内容を常時監視し、積極的に名誉毀損の発言がないかを探知したり、全ての発言の問題性に関して検討するような重責を負わせるべきではないというという判断がなされました。
続きます。


 

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