2002/06/25
あみだくじの話1
あみだくじは不公平だという記事を読みました。
これはパスカルの三角形の定義によるもので、(a+b)のn乗の各項の係数を並べると、真中が一番大きくなるという理論です。この理論から、完全二分岐は中心に集約されるという解が導かれます。もう少し判り易く説明しましょう。コインを投げて表が出たら−1し、裏が出たら+1するというのを2回行ったら数字は幾つになりやすいか、というのを考えます。コインの組み合わせとしては表表、表裏、裏表、裏裏がありますが、それぞれ−2、0、0、+2となり、数字が変わらない可能性が一番高いのです。これを4回行った場合は、−4が1回、−2が4回、0が6回、+2が4回、+4が1回となりますから、やはり数字が変わらない可能性が高いことになります。これをあみだくじに適用すると、あみだくじで現在居る列から左に行くか右に行くかが等しい確率で発生するため、上のように列の移動が0になる、つまり真下に行く確率が高いということになります。しかし、これは本当に本当なのでしょうか?単純化するために列は3列としましょう。まず、第一の問題としては、あみだくじは分岐の回数が全ての列で等しいわけではないということです。3列しかないあみだくじの左と真中の間に3本の線を引き、それよりも上に真中と右に1本の線を引いた場合、それぞれの列は何回線を通るでしょうか。左側の列は3回通りますし、真中の列は1回しか通りませんし、右の列は4回通ります。つまり二項定理のパスカル三角形とは異なる数列になり、その列は(a+b)+(a+b)の二乗+・・・+(a+b)のn乗(nは最大通り得る線の個数)となるはずです。コインを投げた場合で考えると、3回のトスなら±3、±2が各1回、±1が各4回、0が2回となり、0回になる確率は決して高くありませんし、4回のトスなら±4、±3が各1回、±2が各5回、±1が各4回、0が8回という、ちょっと変則的な分布になります(コイントスが0回というのは、あみだくじにおいて有り得ないため想定していない)。
続きます。


 

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