2002/06/03
グリコの添加物の話2
続きです。
アセトアルデヒドの発癌性に関しては数値的にはIARC(国際癌研究機関:International Agency-for Research-on Cancer)では2Bグループに、ACGIH(米国労働衛生専門官会議:American Conference-of Governmental Industrial Hygienist)でもA3グループにランクされています。ただし、日本の厚生労働省は、アセトアルデヒドに発癌性は存在しないなどと、のたまわっています(その根拠がIARCの2B値。「人に対して発癌性を示す可能性がある」は「発癌性の可能性を明確に示唆していない」そうだ)。ついでプロピオンアルデヒドですが、こちらも高濃度で吸入すると呼吸器及び目に対する刺激が認められています。またこれは経口及び経皮吸収もあり、パッチテストで発赤も認められていますが、慢性影響に関しては特に問題無しとされ、特に低濃度での影響はゼロに近いと言われています。発癌性に関してもIARC、ACGIH共に未評価となっています。許容範囲も特に定められていません。ただし、反復毒性は内臓や気管系に影響があると言われています。もっとも、この物質自体の半減期が極めて早い(1日以内でOHラジカルと反応消滅する。活性酸素と反応消滅するから体に良い!なんてやってくれないかな>某インチキ発掘番組)ため、通常の影響は、ほとんど考えられません。ところで、アセトアルデヒドもそうですが、この物質は悪臭防止法の規制対象となっています。最後にヒマシ油ですが、これは下剤として商品化されているような代物なので、特に影響は考えられません。一応毒性はあるようですが、致死量がとてつもなく大きく、とても死ぬまで飲めるものでもないです。
そういうわけで、今回の事件では、なるほど、アセトアルデヒド以外は大した物質ではなく、そのため省略されているようです。とはいえ、今までの事件と違い、これらの物質が添加物として正しいかと言われると、はなはだ疑問があります。あえて添加すべき物質ではないでしょう。そういう意味で協和香料化学株式会社の違反行為は強く非難されるべきです。


 

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