2002/06/01
ハインツの添加物の話
また食品添加物の話ですが、ハインツのソースにポリソルベートとケイ酸カルシウムが入っていたため回収、というニュースが流れておりました。どちらもあまり聞いたことがない物質だと思いますので、調べてみました。
ポリソルベートですが、同位体として20,40,60,65,80,85があるようです。この物質は主に乳化剤(油と水を親和させるための物質)として使用され、有名どころでは頭の油を溶かして落とすために育毛剤の中に含まれています。FAO/WHOのADI値は一応定められており、体重1キログラムあたりで25ミリグラム。これは通常、ほとんど毒性がないと言います。ラットテストでは1キログラムあたり約1.8グラムを静脈注射したことで急性の毒性を出した例があるようですが、60キログラムの人間に換算したら100グラム以上も注射したことになりますから、むしろそんなに注射して何も出ないほうがおかしいんじゃないかと思いますね。もちろん、アメリカやヨーロッパなどでは制限されていません。一方のケイ酸カルシウムですが、こちらはマウステストで活動低下および体重減少の報告がある上、脱臭剤や研磨剤に含まれる物質ということで用心しながら調べたのですが、FAO/WHOのADI値はケイ酸カルシウム自体が二酸化ケイ素群に含まれており、Not specified(極めて毒性が低いため、上限値を定める必要の無い物質)となってました。そりゃそうです。二酸化ケイ素ってあのシリカゲルですから。シリカゲル食って死んだという話は聞いたこと無いですし。そういうわけで、この2つの物質は、例によって日本では何故か禁止されているけれど、世界的に見ればまったく危険性が無いとみなされていて、使用を禁じる理由のない物質です。特にケイ酸カルシウムなんぞ、添加しなくても普通の食品にも含まれているような、ありふれた物質であり、敢えて表記を義務付けたり、使用を禁止する理由なんぞありません。
結局とりたてて騒ぐほどのことではなく、いつもの如くお役所仕事として、禁止すべき品は禁止せず、禁止しなくても良い物質を禁止しているというだけのことのようです。
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