2002/05/06
ビリヤードの話3
続きです。
大学に入って痛感したのは、K君が素晴らしいプレイヤーだったということでした。大学の近く(というかすぐ裏)には、パチンコ屋兼ゲームセンター兼ビリヤード場兼ボーリング場という、総合レジャー施設のようなものがあり、そこに2台だけ置かれたビリヤード台でビリヤードをするときは、私は技を全て封印して、本当に手を抜いて遊ばなければなりませんでした。決して相手を舐めたわけではないのですが、そうでもしないと、相手に楽しんでもらうことができなかったからです。さて、当時、同級生にビリヤードが滅茶苦茶上手いと評判のI君というのがいました。彼と遊ぶのはつまらない、という噂が流れていました。何故なら、彼は相手が初心者だろうとなんだろうと、徹底的に叩きのめして悦にいるタイプだったからです。当時のそのレジャー施設でのビリヤードには暗黙のルールがありました。そこは1時間で交代なのですが、どうせ同じ学生しかやっていないので、2時間後に予約を入れる、というルールです。ところが彼は彼の取り巻きを連れてビリヤード場に来ると、1時間後に予約を入れました。ルール違反じゃないかという抗議に対して彼は言ったのです。「そういうのは僕に勝ってから言ってよね」と。なし崩し的に私が挑戦することになりました。実は、この対戦は私の望むところでもありました。正直な話、彼がK君ほどとは思っていませんでしたが、それなりに上手ければ遊べるかな、と思っていたからです。しかし実際にやってみるとそこには2割しか勝てなかった頃の私が居ました。彼と遊ぶのは苦痛以外の何物でもありませんでした。3ゲームほど遊んだだけで、彼のビリヤードが私が本気を出すまでもない程度のものだとわかってしまったからです。そこから私は、いかに早くゲームを終わらせて、この苦痛から抜け出すかだけを考えていました。5ゲーム連続で私が負けたところで、そろそろ終わりにしようと思ったときです。
続きます。
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