2002/02/18
コリオリの嘘の話2
続きです。
実はこのコリオリの力というのは思われているほど強くはなく、よほど巨大な事象でない限り、実際にはほとんど影響を与えないのです(コリオリの力を求めたい人のために数式を提示すると2×自転角速度×経度方向の速度×sin緯度で求められる。地球の自転角速度は約0.000073rad/s、sin緯度は東京で約0.58なのでどのくらいの大きさかわかるだろう)。このことを、私が生まれるよりも遥か前に実際に実験で確かめた人がいます。詳しい資料は無くしてしまいましたが1960年代にマサチューセッツ工科大学でコリオリの力の与える影響を実験しています。この実験は、私の記憶では直径も高さも2メートル弱の円形の容器に水を100リットルほど入れて、時計回りに回転させた、というものです。この状態で外から力が加わらないように放置し、数時間経ってから栓を抜いたところ、渦巻きが時計回りにできたそうです。なお、24時間放置してから栓を抜いたところ、渦巻きは半時計回りになり、その中間で栓を抜いたところ、最初は時計回りにできた渦が次第に弱くなり、最後は半時計回りになったそうです。これだけの量の水を少しかき混ぜただけで、これだけの時間放置しないと、コリオリの力が有効にならないのです。つまり、洗面台や浴槽程度の容器の中に働くコリオリの力なんか、極めて弱く、むしろそれ以外の条件によって左右されるということです。このような厳密なのかいい加減なのかよくわからない実験以外に、私も実際に風呂から上がってすぐに栓を抜くということを何度かしてみましたが、その際の渦巻きの出来方はまちまちでした。この実験は風呂に入る人なら誰でもできますから、嘘だと思うなら自分でやってみてください。
では、何故テレビではあのようにきれいにコリオリの力の働いたような半時計回りの渦巻きができるのでしょう。これは限りなく放置したのか、初めから半時計回りに水流を作ってあったか、半時計周りになるまで何度も撮り直したのではないでしょうか。


 

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