2001/12/27
切干大根の話1
以前に消しゴム一つだけでもテーブルトークは書けると言ったことがあります。実際、消しゴムだけで書いたこともあります。しかし、これは無理だと思いました。切干大根だけで一本書くのは。ところが、以外に奥が深かったのです。
そもそも切干大根の定義は、大根を切って乾燥させたものです。あまりにそのまんまですね。おかげで、切干大根と一口に言っても多数の種類があります。我々が普段「切干大根」と言って思いつくあれは「千切大根」という種類になります。これは大根を千切りにして乾燥させたものです。千切りよりも太く切ると「上切干大根」。短冊切りにすれば「かいこ切干大根」、角切りにすれば「角切干大根」です。千切りにして蒸してから乾燥させた場合は「蒸干大根」になりますし、千切りにして茹でてから乾燥させた場合は「茹干大根」となります。これ以外には、大根を縦にばっさりと四つに切ったものを干した「割り干し大根」、それをもっと細かく縦切りした「細割り干し大根」、割り干し大根を輪切りにした「花切干大根」などもあります。なんだか物凄い種類があるようなのです。切干大根は本来、大根がたくさん採れたときのための保存食として作られたものですが、その単位重量あたりの栄養価の高さから兵糧としても用いられました。考案されたのは案外新しく、江戸時代中期、18世紀の初頭とされています。主な産地は東海地方で、特に愛知のものは有名です。原料となる大根としては尾張大根や渥美大根、宮重大根が最適とされています。切干大根はその見た目さえ気にしなければ、家庭で作ることもできます。余った大根を大き目の輪切りにし、ざるの上でただ天日に干すだけでもできるのです。大根自体はたんぱく質分解酵素であるアミラーゼを含んでいますので、自分自身の持つアミノ酸成分が分解され、旨みを増します。また、日を触媒として糖分が変質して甘味を増すことが可能です。このときに色が褐色化します。切干大根は生の大根に比べて単位重量あたりの栄養価も高くなりますが、何故でしょう。
続きます。
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