2001/12/20
最も難しいコンテンツの話2
続きです。
インターネットなどを駆使してなんとか得た知識をもとに「ドラえもんの科学」を書こうとしても、今度は複雑な数式を提示しなければならなかったり、説明するだけで文章が終わってしまうような事象の概略が起こせなかったり、いくらなんでもそれは無理だろうと思うようなことや、あまりに一般的でなさすぎたりすることは多々あります。たとえば超ひも理論の中の超ひも交差によるタイムマシンの可能性なんて話題がそうです(もともと超ひも理論自体が難しいのにそれの交差に至っては、とてもじゃないが書きようがない)。そんなときには敢えてそれらを捨てて、今度は想像力を総動員して考察を起こさなくてはなりません。つまり、科学ではないSFとしての知識も重要になるのです。こうして、それらの情報を元に「ドラえもんの科学」を書くと、その文章量はてーぶるとーく2話分程度は余裕であります。しかし、「ドラえもんの科学」はエンターテーメントコンテンツであり、退屈でくだらない科学考察にならないようにしなければなりませんから、今度はあまり面白くなさそうなことやさらっと流せそうになさそうなことは大幅にカットします。たとえば、「タケコプター」の話ではもともと、ブラックホールの蒸発の話題(当然陽子と反陽子の対消滅の話題も扱うことになる)や地磁気のゆっくりとした移動(ポールシフト)やワームホールまで扱おうとしていたのですが、カットしています。実際、「否定は負けである」と書いておきながら、「こんなのできねーよ」と思わず負けそうになることもあるのです。こうして「ドラえもんの科学」一話を書き上げるのです。難しいと言った理由がおわかりいただけたでしょうか。
ところで、「ドラえもんの科学」では簡単な本で構わないので宇宙論や量子論の本を読むことをお薦めします。もちろん「ドラえもんの科学」自体は対象年齢が13才以上程度でも「謎解き」として楽しめるようにしてありますが、これらの本を読むと、「ドラえもんの科学」の本当の面白さを知ることができると思います。


 

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