2001/10/14
紅茶の名称の話2
昨日の続きです。
ミルクティはイギリスでもミルクティです。ロイヤルミルクティですがこれは完全な名称詐称です。紅茶を美味しく入れるには沸騰した熱いお湯を使う必要があるのですがミルクは温めると独特の匂いが出、その匂いが紅茶の香りを損なわせるのです。そのためたまに日本でわざわざ温めたミルクを添えて出すことがありますがイギリスでは決してそのようなことはしません。さめたままのミルクが添えられます。誇り高きイギリス王朝からそんな野蛮な紅茶にロイヤルなどと言うなとクレームが入らないのが不思議なくらいです。たしかにイギリスにもミルクで煮出す紅茶がないわけではありません。インドでは知ってのとおりチャイと呼ばれる紅茶があり、ミルク煮出し紅茶はそのためイギリスではインディアンティと呼ばれるのです。ただ、日本でこのようなロイヤルミルクティと呼ぶ理由もわからないでもないです。イギリスと日本とではミルクが違うからです。ちょっと説明しますと、日本で市販されているミルクのほとんどは比重の軽い乳脂肪分が分離しないように特殊な加工をほどこしてあります。この行為をホモジナイズドと言い、これのなされたミルクをホモミルクと言います。イギリスのミルクはこの加工をほどこしていない、ノンホモミルクのため乳脂肪分が上に集まります。その上澄みを使うのです。そのため日本のミルクよりやや濃厚なミルクで入れたティになります。日本ではそういうミルクが手に入らないため、少しでもイギリスのミルクティに近づけるためにミルクで煮出すという、かえって風味を損なうような真似をしているのだと推測されます。まとめると、日本でのレモンティはイギリスのロシアンティ、日本でのロイヤルミルクティはイギリスのインディアンティ、日本でのロシアンティはイギリスにもロシアにも存在しない、ということになります。
紅茶の話はとりあえずこれでおしまいです。良い紅茶ライフを送ってください。私はこんな面倒くさい紅茶ではなくてコーヒーを飲みますけれど。
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