2001/06/18
朝日ソノラマの話
規模の大小はあれ、旧レコード会社は必ず親会社を持っています。例えばポニーキャニオンはフジサンケイグループの傘下ですし、ビクターは松下電器、コロンビアはNEC、ワーナーはパイオニア、キングレコードは講談社といった具合です。
さて、ヴァンパイヤハンターDを筆頭に数々のSF小説を発表していることで有名な朝日ソノラマという出版社があります。普通ソノラマと言われて思い出すのはソノラマシートです。ソノラマシートを知らない人がいるかも知れませんので説明しますと、ソノラマシートとは円形のビニールシートに溝を入れた、とっても安価なレコード盤で、コストが安く作れるため雑誌などに付録としてついてきたという代物です。私は何故朝日ソノラマという出版会社がソノラマなどという名前を持つのか疑問には思っていました。朝日ソノラマは朝日新聞とは何の関係もないことは知ってましたから、もしかすると朝日のつく社名が全部確保されていたのでとりあえずソノラマという言葉を入れてみたのではないか程度に考えていたのです。ところが、最近になって調べてみたところ、実は朝日ソノラマは元々はソノラマシートを作るレコード会社だったのです。つまり朝日ソノラマというのはレコード会社が主流で出版はおまけだったんですね。しかしソノラマシート自体がCDなどで壊滅的な打撃を受け、完全消滅してしまいました。先ほども書いたとおり、雑誌の付録としてソノラマシートは使われた時期があり、このときに本来はソノラマシートというレコード盤を作っていた朝日ソノラマは出版社の経営方法を学んでおり、自社でも出版を手がけていたのです。これは実は一種のメディアミックス商法で、朝日ソノラマ文庫で本を売り、その本のレコードブックという形でソノラマシートを売るという商法を行っていたためにできたことなのです。
そういうわけで、朝日ソノラマは日本で唯一、どこの傘下にも入っていないレコード会社(としての能力hいまだに保有しています)であり、しかもレコード販売業よりも出版社としての知名度のほうが高くなってしまったという変な会社なのでした。
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