2001/05/09
調査の話
統計学的なトリックに関しては何度も述べていますが、実は世論調査も巧妙にトリックを用いていることがあります。
以前、私はあるテレビ局の電話世論調査を受けたことがあります。このときに見事なトリックを見せられました。それは内閣支持率というものに関する調査だったのですが、本当にきれいな情報操作をしていました。まず、内閣の大臣のうち問題を起こした人間のその事件についての意見を聞かれました。それが続いたあと、今度は総理大臣の問題発言や株価低迷について等、悪いことばかりを聞かれました。そして最後に今の内閣を支持するか聞かれたのです。もちろんニュース番組では異様に低い内閣支持率という結果を報じておりました。広告でもトリックは使われます。あるメーカのパソコンがあるアンケートで一番多くのビジネスマンに支持されました。このメーカのパソコンを購入するべきでしょうか。答えはわからない、です。なぜならそのアンケートというのがどの程度公平なものだったのか不明だからです。え?わかりませんか?では、そのアンケートがさんざんそのメーカのパソコンの素晴らしさを語った上で取られたらどうでしょう。アンケートに答えてくれた方のうち抽選で何名かにパソコンをプレゼントするというものだったらどうです?そして、プレゼントされるパソコンが支持率ナンバーワンのメーカのパソコンだったら。圧倒的多数がそのメーカを支持すると答えると思いませんか?もっともこれは統計的なトリックというより心理的なトリックになりますが。調査はその内容まで公開していなければ正当なものであるかどうかわからないのです。そして、調査の内容についてまで公開している調査というのはほとんどありません。ですからこのような統計的なトリックは、ほとんどの調査で使われていると見てよいでしょう。
最後に、ある有名な問題を出しましょう。ある紛争地帯では兵士の死亡者は年間で10%です。対して一般人の死亡者は年間で20%です。以上から生き延びるためにあなたは兵士になるべきかならないべきかを考えてみて下さい。答えは書きません。
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