2001/04/07
ハッカーとクラッカーの話1
よく、ハッカーとクラッカーは異なる、なんて話を聞きます。ハッカーは自分達をクラッカーと呼ばれることに対して非常に嫌がります。RFC1983を訳すと、ハッカーはシステムやコンピュータ、ネットワークの内部構造に関して詳しい知識を持つことに喜びを感じる人のこと、クラッカーは権限なしにコンピュータシステムにアクセスしようとする人のこと、と定義されています。でも、私が知っているかぎり、もともとクラッカーなんて後で取ってつけた言葉です。
語源を探ると、ハッカーの語源は「切り刻む人」という意味にたどり着きます。これは元来はリバースエンジニアリングなどを用いて内部コードを切り刻み、理解するというところから誕生した言葉です(コンパック社がIBM社のATBIOSコードをリバースエンジニアリングしてAT互換機を作ったのがまさしくハックでしょう)。これが転じてシステムに詳しい人のことをハッカーと呼ぶようになりました。こういう言葉の変換はよくあることです。さて、今で言うクラック技術も当時はシステムに詳しくなければできませんから、ハックと呼ばれていました。ところがそれが犯罪的(そもそも、もともとのリバースエンジニアリング自体が犯罪に近いんですが)であるため、ハックの中でも犯罪色の濃いものが取りざたされて、また意味が転じてしまいます。つまりコンピュータ犯罪をハック、それを行うものをハッカーという具合に。そうすると、「コンピュータには詳しいけど悪いことをしていない」という自負のあったハッカー達はハッカーと名乗るのが気まずくなってきます。そこで最初に思いついたのは自分達の言い方を変えることでした。そういう連中は自分達はハッカーではない、自分達はテック(技術)をもつテッキー(技術者)だ、なんて言い出しました。しかし、まあ、当然というかこんな言葉はあっという間に廃れます。特に誇り高きハッカーはなぜ自分達が名称を変えなければならない、なんて正論をぶちまけ、コンピュータ犯罪を行う連中を別の呼び名で言えばいい、と言い出します。
明日に続きます。


 

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