2001/02/14
植木に米の研ぎ汁の話
東京都のお知らせというのを読んでいたら、水質の汚濁防止に米の研ぎ汁を植木に撒いているというのがありました。まあ、どこで洗ってその水をどこに捨ててるのかもまったくわからない無洗米(洗ってあるのに無洗米というネーミングも変なのですが、今回は置いておきましょう)に比べればはるかにエコロジカルってところなのでしょうが、気になってWeb検索を行ったところ、出るわ出るわ。これ、かなりの人がしてるんですね。
もちろん私はガーデニングについて詳しいわけではありませんが、米の研ぎ汁をかけられた植木というのは本当に無事なのでしょうか。そもそも、植物が根から水を吸いとる原理をご存じですか?一般には毛細管現象(水の表面張力を利用して水位が上がる現象)と言われておりますが、毛細管現象で吸い取れる水はだいたい1mが限界です。よって水を吸い取るのには毛細管現象だけではなく、中学の理科で習う浸透圧現象も絡んでいます。浸透圧現象というのは例えばセロファンのような半透膜で仕切った両側に濃度の違う二つの液体を置くと、薄いほうの液体から水分が濃いほうの液体に流れ出るという現象です。植物もこの原理を用いて根から水を吸い上げます。この効力を助けるのがカリウムで、そのためチッソ、リン酸と共に三大化学肥料の一つになっているわけです。肥料濃度の高い水分を植物に与えると、植物は浸透圧原理により水分を吸収できなくなり、またあまりに濃度が高いと逆に水分を奪われ、結果として水分不足となって枯れます(液体の濃度の差があまりに大きすぎると浸透圧によって流れる水分量が大きくなりすぎるため半透膜が壊れるからという異説もあります)。たとえば雑草の除草を行うのにはうどんやそばの茹でた残り汁をかけてやると、あっという間に枯れ果てます(本当です)。同じ現象は米の研ぎ汁でも発生すると考えられるのですが、いかがなものでしょうか。
エコロジーに気を遣って木を枯らすというのもなかなかシュールでいいのですが、安っぽい川柳にもなりませんからねぇ。
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