2001/01/29
デマの広がり方の話
某ゲーム機が3月で生産中止、撤退という報道が出て数日でそれが既成事実化しました。しかし、これは事実ではありません。
私は個人的にこの流れを追っていったのですが、最初にこの記事をすっぱぬいたのは、特ダネは多いけれど、当たっている率もきわめて低いという某N新聞です。その記事では撤退は決定事項として書かれておりテレビなどもその記事を鵜呑みにして撤退と報道しました。ところが、その後、撤退報道された企業の海外法人が「そんな事実はない」という発表を行い、日本の本社でも「撤退を検討中」という発表をしました。その後の記事を見ても自分たちの「撤退決定」の記事に対する訂正は載せないまま「撤退を検討中」という書き方に変更、中には負けず嫌いなのか「撤退を検討していることを事実上認めた」などとわけのわからないことを書くところも出てきました。さて、最初の特ダネ記事は正しかったのでしょうか。例えば私が「自作やめようかな」とどこかで書いたとします。それを見た誰かが「てんてんが自作をやめることを決定」と書いたとしたら、それはデマとはならないのでしょうか。「検討」ではなくて「決定」ですよ。私ならそれはデマだ、と言います。検討しているのと決定しているのとではそこには大きな開きがあります。この報道のあと実際に撤退しなかったとしても撤退の記事ほど大きくその記事を取り上げてくれるでしょうか。取り上げないとすれば既成事実として(実際に撤退していなくても)撤退したことになります。そして、撤退せずに売りつづけた場合、間違った報道をした報道機関のほうは決して叩かれることなく、製造している企業のほうが「撤退といっておきながら撤退しなかった」などとめちゃくちゃな誹謗中傷をされることは目に見えています。結局、この企業は撤退せざるを得ない立場に追い込まれたといっていいでしょう。
今回の事件を見てみると、デマというのがいかに簡単に広まるのかがよくわかります。それがあり得そうな話であればあるほどデマは急速に広まり、そしてそれは事実に取って代わります。恐ろしいことです。
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