2000/09/19
机上戦略論(総合編)
もし、北海道が突如日本からの独立を宣言して、戦争状態に陥ったとしたら、北海道軍は東京を攻撃できるでしょうか。恐らくできません。東京という都市を攻撃すれば世界を敵に回すからです。なぜなら、東京にはありとあらゆる国の銀行や大使館などが存在しています。その都市を攻撃することはすなわち他国を攻撃するのと同じことになるのです。
最近の紛争を見てみれば、戦争が起こっている地域は外国人が少ないエリアです。戦争が起こったときに避難できないほど自国民がいる国家は戦争を起こした国家に対して断固たる姿勢を取るからです。架空戦記物で真珠湾奇襲が描かれる場合、何故か南雲司令はきっちりと燃料庫も破壊していきます(史実では破壊しなかった)。これはその後のアメリカ太平洋艦隊の運用を遅らせることになり、一見戦略的に正しいように見えますが、とんでもありません。もし燃料庫を破壊していたらハワイ自体が火の海となり、ハワイ市民、つまりアメリカ一般国民が死ぬことになります。非戦闘自国民の死に対して、アメリカは容赦しません。国力の差から結局は日本が戦争に負けないためにはどこかで和平する必要がありました(山本五十六提督が和平論者だったことは有名ですね)が、ハワイを火の海にしてしまえば交渉の余地はありません。真珠湾奇襲でも反戦を唱えていた人は少なからずいました。彼等も積極的な参戦となり、おそらくアメリカの軍事総合力は史実よりも強力となり、日本全土が史実よりも火の海となるだけでしょう。アメリカという圧倒的な国力を誇る国と戦うためには国内の厭戦ムードを高める以外にはありません。ベトナム戦争を見ればわかるでしょう。勝つためには高コストパフォーマンスの軍備でひたすら専守防衛に徹して世論を味方につけるしかないのです。そのために超級兵器が必要かどうかはまた別の話です。
別の手段もあります。例えば日本を優秀な兵器を売る死の商人国家にするというのはどうでしょうか。敵味方を問わず戦争捕虜を収容する国際捕虜収容国家にするという手もあります。どちらも経済効果は抜群です。それが戦略というものです。


 

Topへ