2000/09/18
机上戦略論(運用編)
超級兵器を一つにまとめて無敵ユニットを作ったとします。この無敵ユニットは常勝とします。では、この無敵ユニットは戦略的に正しいでしょうか。
例えば町でラリったやくざが刃物を振り回しながらふらふら歩いていたとします。あなたならどうしますか。その道を通らず、迂回するだけでしょう。ようは近づかなければいいのです。もし、無敵ユニットが現れたら無敵ユニットのカバーするエリアは無視して他のエリアを攻略するというのが当然です。無敵ユニット以外の部分は当然手薄になりますから、そこを潰せば自分達も常勝になりますし、相手は所詮無人の荒野を行くわけですから、いつか補給切れになるか士気が低下するでしょう。これはソビエトが得意としていた戦略です。結局、他の部分での敗戦が大きすぎて、また無敵ユニットに配属されなかった兵員の士気も低下して戦略的には失敗となります。複数の能力を有する超級兵器はその兵器を扱える人材を限らせます。結局少数の人材をフルに稼動させることになり過労となって、かえってその性能を生かせないでしょう。万が一その無敵ユニットが破れでもしようものなら目も当てられません。史実で戦艦大和が大和ホテルと呼ばれていたことを御存じでしょうか。大和は大日本帝国海軍の象徴のような艦になってしまったため、この艦が万が一にでも撃沈されてしまうと士気に大きく影響するという理由で実際にはほとんど使用されなかったからです。よって無敵ユニットというのは非現実的で、たしかにその無敵ユニットの存在する戦場では戦術的な勝利を見込めるでしょうが、戦略的にはほとんど意味を持ちません。広域的な戦争では強力な兵器は集中投与しないほうがいいのです。かといって分散運用すればいくら超級兵器と言っても通常兵器の五倍もの戦力があるわけでもありませんから結局は大した影響力を持たなくなってしまいます。
超級兵器というのは柔軟な運用も低下させます。軽空母が三台あれば、一台を三ヶ所、一台と二台、三台を一ヶ所、と三通りの運用ができます。超級空母一台では運用は一通りしかできません。
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