2000/09/08
動物報道の話
マスコミがネタがないときにさくっと流して視聴率を稼ぐのに動物報道という手があります。とりあえずかわいい系の動物の話題をふって視聴者に「ああ、かわいー、ほのぼの」と思わせる姑息な手段です。こんな手段に引っかかるほうも引っかかるほうなのですが、実際、この動物報道って本当にほのぼのなんでしょうか。
パンダの赤ちゃんが生まれたなんてときにはニュースになります。日本人はそれを見てパンダの赤ちゃんて白いんだとか、ちっちゃくてかわいいとしか思わないでしょうが、パンダってさすがに熊の仲間というか、かなり狂暴で中国では年に数人の人がパンダの手にかかって命を絶たれています。作物被害も多いと聞いています。しかも相手は保護動物なので泣き寝入りだそうです。そういう人がパンダの赤ちゃん生まれるの報道を聞いてかわいいとかほのぼのとか思うでしょうか。でも、誰もそんなことを考えませんし、そんなことを言った日には「せっかく人が楽しい気分になっているのにぶち壊しにして」と怨まれるのが関の山でしょう。カルガモの引越しも話題になりますが、本来は地元の住民がボランティアで始めた規制をマスコミが寄ってたかって面白がって報道したおかげで毎年あのシーズンになると見物客が現れて大騒ぎし道を散らかし、地元住民の感情を逆なでしています。テレビを観てる人にとってはそんなことは知ったことではないでしょうし考えも及ばないでしょう。いやむしろ、本当のことを知って自分の勝手な価値観で得たほのぼの感を失うことを嫌がるでしょう。公園で鳩に餌をあげている老人、なんて平和な光景でしょう。でもその鳩の糞害と戦う駅員の苦労には頭が及ばないでしょうし、そうやって増えた鳩にテリトリーを奪われて絶滅寸前になってしまった野鳥のことなんて決して考えようとはしないでしょう。なんででしょう。
なんでこんなことになってしまったんでしょう。その理由は誰もが知っています。でも知りたくない。明日のテーブルトーク、視点の話で書きます。
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