2000/09/04
ジュースの話
ジュースと書いて良いのは果汁が100%のときのみだそうです。トマトジュースにしろオレンジジュースにしろ、ジュースとついているものは果汁100%の商品だということになります。ところが、奇妙な話ではありますがこのことと「果汁しか入っていない」こととは等しくありません。例えばカゴメのパイナップルジュースを見ると、原材料名には香料が含まれています。それでもジュースと堂々と名乗って売られています。
このからくりには濃縮還元というキーワードがあります。濃縮というのは果汁を果物から絞り出し、何らかの方法で水分だけを飛ばすということです。一番簡単なのは熱を加えることです。ぐつぐつ煮込んで水分を飛ばすわけですね。浸透圧を利用する方法もあります。こうして何倍にも濃縮された果汁を重量比で同じ倍率に薄めれば100%ジュースが出来上がります。極端な話、10倍に濃縮した果汁を10%だけ入れて、あとの90%にはアルコールでも水道水でも香料、着色料、保存料、その他のまがい物をぶち込んでもジュースなわけです。この濃縮還元という手法はほとんどのジュースで使われています。これは消費者のためではなく、純粋に企業の利益のために取られる手法です。製造コストの中でかなりのウェイトを占めているのは輸送費です。例えば果汁を採取した現地から瓶(缶)詰めする工場までトラックで運ぶ場合、10倍に濃縮すれば濃縮にしない場合に比べて一台で10倍の量を運べます。あとはそれこそ水道水ででも薄めてやればそれでジュースは出来上がりです。もちろん、一度加工したものを水を加えて元に戻したからと言ってまったく同じ物になるわけがありません。加工の途中で飛んでしまう成分もあるでしょう。これらの成分を付け加えるから熱に弱い香料だのビタミンC(これには保存料の代わりという意味もありますが)だのを追加するのです。安全性に関しては・・・言うまでもないでしょう。ジュースと書いてあるからと言って安心して子供に飲ませることもできない世の中なのです。
ちなみに日本にはオーガニック(無農薬)の基準もありません。みなさん農薬にまみれましょうね。


 

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