2000/08/18
アルミケースの話
久々のPCネタですね。アルミニウムケースが「冷えるケース」として人気が高いようですが、これって本当でしょうか。たしかにアルミニウムは熱伝導率が高く、だいたい鉄の三倍くらいと考えていただければよろしいかと思います。つまり、ある熱源に対して鉄に比べて三倍の速度で熱が広がるわけで、放熱効果が高いように思われます。でも、ちょっと待ってください。冷却力というのは熱伝導率だけで決まるのでしょうか。
熱容量というのがあります。鉄はアルミニウムと比べて熱容量が高い金属です。この熱容量というのは、その物質の温度を1度上昇させるのに必要な熱量です。ああ、わかりにくい。つまり熱容量が高いということはなかなか温度が上がらないかわりにより多くの熱量を溜めておけるということです。アルミニウムは熱損失をせずにあっという間に温度が上がってしまうということですが、冷却効果としては熱しやすく冷めやすいと言っているわけですからアルミニウムのほうが優れているということになります。やはりアルミニウムは優れている?実はもう一つ指標があります。反射率です。熱線も光線の一種ですから反射率の高い金属はその熱を反射してしまいます。すなわち自分に温度を伝えにくいということです。ヒートシンクが基本的に黒いのは黒という色が反射率の低い(熱を吸収しやすい)色だからなのです。アルミニウムの反射率は鉄のそれを上回ります。アルミニウムは確かに熱を持ちさえすれば伝えやすいし放出しやすいけれど熱源からアルミニウムに伝わる熱量は少ないということになります。もちろん着色すれば改善されますが、アルミケースって何故か熱を反射する鏡面にしていますよね。同時にスチールのケースがたとえどんな安物でも内部は灰色という反射率の低い色になっている理由も見えてきました。
アルミケースというのは実は内部に熱が篭るだけで冷却効果は低いというショッキンクな結論が出てしまいました。アルミケースの利点はむしろ軽くて運送コストが低い割に高く売れるという点にあるのかも知れません。あなたは騙されてませんか?
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