2000/08/12
身売りの話
大学時代は年に二回、体を売ってお金を得ていました。といってももちろん風俗ではありません。私にはそんな体力も根性も立派なものもありませんから。有償医療ボランティアという言葉でぴんと来た人はいませんか。そう、有名な割には経験者が少ないという、発売されていない新薬を飲んでお金をもらうというやつです。このアルバイトは私が勝手に参加したもので、家族とは関係がありません。念のため。
この有償医療ボランティア(臨床試験)というのは色々噂は聞いているでしょうが、かなり楽しいアルバイトです。まず、身体検査をされ、合格するとどの試験に入るかを選べます。私はだいたい五日前後泊まり込む試験に入っていました。中には土日に一ヶ月通うような形式のものもありました。アルバイト料は書けませんが、ほとんど何もしない割にはかなり美味しいと思ってください。もちろん日数が多いほうが高いのですが、内容によっても多少変動します。例えば結核の薬は副作用が出る可能性が高いため、料金も高いですし目薬のアルバイトも料金が高かったです。ここでもう一度合否判定があります。例えば目薬の場合、涙の量は多いかなど、その状況に応じた細かい検査があるのです。試験当日に会場に行き、製薬会社の人から薬の説明を受けます。納得がいかなければこの段階でも中止して別の試験を選ぶことができます。こうして試験が決まると、あとは三食昼寝におまけに美人(かどうかは定かではないけれど)看護婦さんまでついてくる?という素晴らしい世界が待っています。そのかわり毎日採血されたり血圧計られたり、ものによっては目に変な紙を入れて涙の量を測られたり、エコーを取られたり点滴入れられたりします。こうして予定が終わると交通費が支給され、だいたい一週間後に再検査。この時点でアルバイト料が現金で渡されます。なお、試験中は煙草は構わないのですがカフェイン類やアルコール類は禁じられます。よって飲み物は麦茶かカフェインレスコーヒーか、麦芽飲料になります。
余談ですが、健康な体を一人紹介してその人が参加すると紹介料が入ります。この紹介料で荒稼ぎする人もいて、そういう人は通称「奴隷商」と呼ばれていました。
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