2000/08/11
バグと仕様の話
バグと仕様は紙一重というか、明らかにバグ以外の何物でもないものをバグとは言わずに仕様という習慣がソフトウェアメーカにはあります。いや、OSメーカもそうでした。そうそう、「相性」という仕様を出すハードウェアメーカもありますから、これはこの業界全体の話なのかも知れません。一見おかしな話に聞こえるかも知れませんが、実はこれはテスト技法上は、正当なことなのです。
本来、バグというのは必ず発生するものです。あるプログラムステップにおいていくつのバグが潜んでいるものとする、というのがテスト技法の基本的な考え方です。これを時間で割ったものが瞬間障害発生率と呼ばれる指標となります。よって、テストとは、あるプログラムステップにおいて発生するバグの量がある水準を下回ることを確認する作業です。そしてその基準を満たしていればたとえバグが潜んでいてもそのバグは「発生する確率が低い」とみなされ、考慮されません。品質の高い製品とは最終的にこの瞬間障害発生率が低いものを言います。これは必ずしもゼロではありません。そして、この考慮されずに残った部分は仕様となるわけです。もちろん、指標を低く設定してバグだらけのまま出荷するメーカもあります。そういう会社は当然のことですが徐々に信用を失うことになります。もっともブランドに弱い日本人は信用に価値なんかほとんどないんですけどね。
最後最後と言いながら何十作と最後の作品を出している某ソフトメーカのテストプレイヤに知り合いがいるのですが、あそこは凄いですよ。テストで障害の一覧ができると、よっぽど致命的なものを除いては修正しないんだそうです。そして、どうするのかというとゲーム攻略の出版社に片っ端から電話するんだそうです。今度出るゲームはこうこうこうするとこうなる「裏技」がありますって。そしていついつまではこの裏技を公開しないで下さいという「お願い」をする(実際には圧力をかける。破るとテスト版のソフトを貸さなくなったり写真に使用許諾を出さなかったり、あの手この手のまさしく「裏技」を駆使する)そうです。なんだかなぁ。


 

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