2000/07/18
二昔前の話1
十年一昔と言います。私がパソコンというものに初めて触れたのは今から丁度二十年前、つまり二昔前のことです。このとき、うっかりあんなパソコンなんてものに接しなければ私は親の跡を継いで医者になるとか、もっと違った人生を歩んでいたでしょう。それが幸せかどうかは今となってはわかりませんが。懐古なんてのは私の趣味ではないのですが、今回は二昔前のときのことを書きます。この手のことを書くときはいつもなら年表などの資料をそれなりに用意するのですが、今回は私の頭の中の記憶だけを頼りに再現します。ですから実際の年表と前後関係が入れ替わっているところがあるかも知れません。その場合はご容赦ください。
今となっては何故なのかは定かではありません。運命のいたずらだとしか言いようがないのです。たしかに、当時ハンダゴテ少年だった私は月に二度くらいは無け無しのおこずかいから電車賃を繰り出して秋葉原に行っていました。今となっては恥ずかしい限りですが、通称「ラ製(ラジオの製作・電波新聞社の雑誌)」を抱えて(当時も今も電子系には弱いくせに恐れを知らないというか、無謀なことをしていたものです。私が作った電子回路でまともに動いたのは二石ラジオくらいですし。それでも未だに電子系に対する「下手の横好き」は変わらず、少し前に青色発光ダイオードのニュースを見たときは、意味もなく欲しがったものでした)。たまたま「ラジ館(ラジオ会館という、伝説的な建物)」の中のBitInnという、NECのショールームに入った私は、そこで衝撃の出会いを果たしました。相手は当時出たばかりのPC8001というパソコンです。一応、パソコン自体の存在はTK80とかBASIC8000など、ラ製の記事で知ってはいましたが実物を見たのはこのときが初めてでした。今ではとてもそんなことをさせてはくれませんが、当時のNECは寛大でBitInnは時間決めで自由にパソコンを使わせてくれたのです。
このときにパソコンをいじっていたお兄さん(誰だかは今もわかりません)が親切な人でなければ、あるいは私はこの道に入ることはなかったかもしれません。明日に続きます。


 

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