2000/06/18
基本的人権と軍事力の話2
昨日の続きです。
何度も書きますが基本的人権を守るためには軍事力が必要です。世の中に非武装中立が成功した例は存在しません。かのスイスですら武装中立国です(ちなみにスイスというのは女性に被選挙権を認めない非先進的な思想の国家だったりします)。アフリカに実験的な非武装国家が誕生していますがこれは中立国家ではありません。しかし現在の憲法はこの二つに矛盾を抱えています。これを解消するには基本的人権の尊重という憲法か戦争放棄の憲法のどちらかを是正し矛盾を正す必要があります。もちろん、基本的人権の尊重を変えるわけにはいきませんから、戦争放棄のほうを変更することになります。だからと言って戦争可能にしろと言っているのではありません。武力を他国に向けないように厳しく制限・管理し、かつ憲法によって完全なシビリアンコントロール下に置く必要があります。戦力としては今の自衛隊程度の戦力があれば良いわけですし、シビリアンコントロールはすでに存在しています。ですからこの憲法の矛盾を解消するには基本的人権を守るための軍備は保有すると書くしかないのです。この憲法改正論者としては井沢元彦氏が有名ですが、私は必ずしも氏の考えに賛成しているわけではありません。氏の発言には大きな矛盾が存在しているからです。氏の考えの矛盾について説明します。氏は自衛権の理由として他国の侵略に対して基本的人権を守るために必要である、という考えを持っており、これは私も同意見です。しかしここにさらにもう一つ、日本が軍隊を保有しても他国に攻め入ることはない、何故なら国際世論がそれを許さないからだ、という考えが追加されると矛盾を感じます。他国は攻めてくるけど日本は攻めない、の理由が国際世論では通用しません。他国は国際世論を無視するけれど日本は国際世論を無視しないという保証はまったくありませんから。国際世論という「感情」で日本が他国を攻めないことを納得させるのはおかしいでしょう。
明日に続きます。


 

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