2000/06/02
評論の話
こないだある雑誌を見ていたら漫画大賞の発表があった。そこに選考委員のコメントとしてやくみつる氏が全員に対してまったく同じコメントを書くということをしていた。コメントは、ようするにプロでは通用するレベルではないから同人誌で頑張ってくれ、という内容の文章だったのだが、それが面白かったのであおい氏に電話で話したところ、一言「そんなのプロの仕事じゃない」と言って切られてしまった。よくよく考えて氏がなぜあんなことを言ったのかわかったので自戒の念を込めてこのことについて書こうと思う。
まず、最初の問題はやくみつる氏が漫画家であって評論家ではないということだ。つまりやくみつる氏は漫画評論に関してはアマチュアの域を出ていない。そのレベルの人間が、他人にプロで通用しないと言えるのかというのがある。それから、選考委員はそれなりのお金をもらっている(中にはまったくお金がでないものもあるらしい。名誉代という奴だ)。お金をもらって仕事をしている以上、手抜きをするべきではない。おまけに本職でないアマチュア評論家なのだからプロ以上に真剣に評論するべきだろう。だからあれはギャグですなどとは言わせない。真剣に考えてまったく同じコメントになったと言うかもしれないが、それは大きな間違いだ。何かしら違いは存在するはずだし、その違いがわからないようなぼんくらならその評論はやくみつる氏の言葉通りプロでは通用するレベルではないから同人誌で頑張ってくれというしかない。
余談だが私はやくみつる氏の漫画を何度も見ているが、記憶に残っている漫画など一つもない。やたらと説明的な文字の多い漫画というイメージはある。テレビで即興で一コマ漫画を書くときも口頭で説明しないと何が言いたいのかわからない漫画を書き、実際に口頭で説明する。漫画よりもむしろトイレットペーパコレクタとか芸能人の煙草の吸い殻を集める人ととしての印象のほうが強い。もちろん私もプロの評論家ではないのであくまで私見にすぎないが。


 

Topへ