2000/03/19
秋葉原の奇妙な話3
最後を飾るのは不思議な女性の話です。
初め、てっきりよくできたマネキンだと思っておりました。そう勘違いするくらいまったく動かなかったのです。その女性を見たのは、よりによってじゃんぱらの二号館。つまり駐車場沿いのじゃんぱらの前でした。その女性はじゃんぱらの地下入り口の前に佇んでおりました。白いつばの広い帽子をかぶり、フリルの入った白いワンピース姿だったと思います。この格好自体はそれほど奇妙でもない・・・いや、たしかに秋葉原という町ではそれでも充分過ぎるほど奇妙ではありますが、わりとどこでも見かける光景ではありますし、不思議というほどのことでもありません。その女性の顔・・・まったく表情の読み取れない・・・は近くまでよらないと見ることができませんでした。なぜなら、その女性は体が隠れるほど巨大なうさぎのぬいぐるみを抱えていたのですから。少女ではなく、女性です。明らかに成人と思われる女性がです。そのぬいぐるみがいかに巨大だったのか、そしてその光景がいかに奇妙であったかおわかりいただけたでしょうか。ぺんぎんのバッグを背負って歩いている三十路に近い男が何を言うという意見もございましょうが。その女性には申し訳ありませんが、私はしばらく観察させて頂きました。もしかすると彼氏がいて、彼がじゃんぱらから出てくるのを待っているのではないかという淡い期待もありました。もちろん期待は裏切られました。その女性は無表情のまま、ただ、じゃんぱらの前に佇んでいるだけだったのです。私が数時間後に秋葉原を去る際にもう一度見たときも変わらずに。
今回のシリーズはどうでしたでしょうか。青年、親子、女性と三種三様で、しかもどれも普通に見掛ける人達です。気づかなければ見過ごしてしまうような。何も無いような日常にこそ不思議は潜んでいるのです。そしてこれはすべて実話なのです。
さて、最後にとっておきの恐怖を。
実はこの三つの話はすべて同じ日に起こった出来事なのです・・・・
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