2000/10/27
吸気と排気の話1
高温による障害を抑えるのに一番コスト的に安く、かつ楽なのはファンを取り付けることです。最近の高クロックCPUにはすべてファンがついていますし、発熱量の多いグラフィックカードにも最近はファン付きのものがあります。ファンには吸気ファンと排気ファンがあります。といっても、実際には裏返せば吸気ファンは排気ファンに排気ファンは吸気ファンになるのですが。さて、吸気と排気ではどちらが効率的な冷却が可能なのでしょうか。
吸気口と排気口にはほぼ同じ速度で空気が流れています。よって効率には変わりがないように見えますが実際には排気先に障害物があった場合、その障害物によって乱流となった空気が排気の停滞を起こし、効率を落とします。吸気先には何らかの障害物があったとしても停滞を起こすことはまずありません。掃除機の先を手で抑えると空気が流れなくなる、だからそんなことはないという反論をもらいそうですが、よほど吸気側の気圧を下げない限りは大丈夫です。CPUファンを考えてみましょう。ヒートシンクに直接風が当たるようにした(つまりヒートシンクから見て排気ファンにした)場合、空気はヒートシンクの針山に当たって乱気流が発生し、結果排気の停滞を起こし、冷却効率を落とします。ヒートシンクから吸気した場合はヒートシンクの針山の隙間から空気が流れ込み、その空気が集まって上に放出されますが、上にはほとんど障害物がありませんから停滞は起こりません。非常に効率的な冷却が可能となります。少し前のデスクトップ機にはCPUに大きなヒートシンクを取り付け、PCケースに(ケースの中から見て)吸気ファンを取り付けることで冷却を行っていました。これは、吸気ファンのほうが排気ファンに比べて効率的であることの一つの証明になるでしょう。ところが現在のPCケースのファンの主流は排気ファンです。
本来効率の悪いはずの排気ファンが主流となり、吸気ファンが使われなくなったのは一体何故なのでしょうか。明日に続きます。


 

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