2002/12/13
RISCは敗北したかの話3
続きです。
まてまて、RISCチップセットはちゃんと生き残っているぞ、パソコンはAT互換機だけじゃないんだぞ、マッキントッシュを忘れたのか、PowerPCがあるじゃないか、という人も居るかも知れませんが、今までの話を読めばわかるとおり、実はPowerPCは、もはやRISCとは言えません。なぜならRISCにしては命令系が複雑すぎるからです。むしろ機能の少ないCISCと言っても良いくらいでしょう(実際、最新のPowerPCにおいては分岐ミスペナルティもショートデコード機能も取っ払われてしまった。ロングデコードでRIを名乗っていいのか?)。それに、どう考えてもシェア率で10%未満にすぎないマッキントッシュが、PowerPCが市場として勝者だと思う人は居ないでしょう。まあPowerPCは所詮はIBMのPowerPC版(Public Chip・・・つまり廉価版)にすぎなかったということですね。ワークステーション分野もパソコン分野もRISCというものは虫の息なのです。とはいえ、もちろんRISCが完全に消滅したわけではありません。それどころか、ある意味RISCは勝利したとも言えます。実は世の中にある32bit以上のCPUで個数として最大のチップはARMのRISCチップなのです。。ARMと言われて、ああなるほど、と思う人はあまり多くないかもしれませんので説明を加えますと、ARMというのはARM社のライセンスを用いて作られたCPUの総称で、ARM社自身は製造を行っていません。製造を行っているのはIntelやモトローダを筆頭とした30社を超える会社です。このARM系CPUはPalmやWindowsCEなどのハンドヘルド系や携帯電話、あるいはゲームボーイアドバンスのようなゲーム機で用いられています。いわゆる組み込み系では圧勝と言ってよいでしょう。
RISCは生きています。そして少なくとも、一時はあれだけ騒がれながらも最近はまったく話題にも上らなくなったCrusoeなんかよりは遥かに未来があるのです。


 

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