2002/09/16
アルミニウムは有害?の話1
「アルミニウムは人体に有害」とか、「アルミニウムの摂取でアルツハイマーになる!」なんて話をよく聞きます。本当でしょうか?
そもそも、アルミ=アルツハイマー説というのは、1976年に唱えられました。その根拠は、透析痴呆の患者の脳からアルミニウムが検出されたから、というものでした。つまり、透析痴呆の患者からアルミニウムが検出されたから、アルミニウムがアルツハイマーの原因だと言ったのです。つまり、まったく異なる病気の原因がアルミニウムの可能性があったから、アルツハイマーもアルミニウムが原因という、非常に誤った理屈なのです。例えるなら、咳の出る結核の原因が結核菌だったからといって、全ての咳の出る病気は風邪だろうとなんだろうと、結核菌の仕業と言っているようなものなのです。そして、それ以上の証拠は出てきていません。当時は、本来まったく異なる透析痴呆とアルツハイマーが同じ病気だと思われていたのですね。透析痴呆というのは人工透析治療で発生する痴呆で、透析液に使われていた水道水にアルミニウムが含まれていたため、それが脳内に入って痴呆を起こさせたという病気です。このときに痴呆を発生させるのは、ほとんどの金属(マグネシウムなど)なのですが、アルミニウムだけが注目されました。しかし、通常の状態で透析痴呆のように脳内に高濃度のアルミニウムが入ることはありません。アルミニウムは確かに脳内に大量に入れば痴呆症を引きおこしますが、それはマグネシウムなどの他の金属と同じ話に過ぎないのです。そして、通常アルミニウムを摂取したからといってそれが脳内に蓄積されることは極めて少ないと考えて構いません。では、本当にアルツハイマーの患者の脳からはアルミニウムは検出されないのか、と言われたら、答えはノーです。検出されるのです。ほらやっぱり、と思った人は、ちょっと単純過ぎです。アルツハイマーじゃない患者の脳からもやっぱりアルミニウムは検出されるのですから。
続きます。
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