2002/06/09
醤油とわさびの嘘の話2
続きです。
まったく同じアリルからし油という成分にも関わらず、わさびは醤油に浸けるなと言っておきながら、カラシや大根おろしにはそのようなことは言いません。当たり前です。そもそもアリルからし油には醤油に含まれる、どの成分ともなんら親和性や反発性を持つことはないのです。だいたい、本当に摩り下ろした本わさびは、ほとんど醤油に溶けません(一部の油分、たとえばミント油などは、アリルからし油に対して刺激性を低下させる働きを持つが、醤油の油分にはこのような性質はない。またアリルからし油自体は水溶性ではないため、醤油の水分には溶けない。ちなみに粉からしが水に溶けるのは、その成分に乳化剤が含まれているため)。不完全に摩り下ろしたわさびなら或いはミロシナーゼの効果を減少させることはありえますが、きちんと摩り下ろしてアリルからし油となっているなら、醤油ごときで変性したり変質したりは、しないのです。確かにわさびを直接刺身に乗せて食べたときと、醤油に溶いて食べたときでは、感じる辛さは異なります。これは当たり前の話で、単にわさびが直接舌に触れるか触れないかという違いに過ぎません。アリルからし油を醤油に溶かすことで辛味が早く無くなったりということは、その化学性質的に有り得ません。単なる迷信(あるいは「通の盲信」)に過ぎないのです。最近ではこのような事実を元に、わさびを醤油に溶かしても構わないとしている高級店も多々あります。正直な話、このような迷信を信じていまだにわさびを醤油に溶かすことを嫌悪する人は、ただの「通気取りの馬鹿」くらいでしょう。
さて、ついでにアリルからし油について調べてみました。ADI値もありませんでしたし、IARCではグループ3(発癌性は存在しない)になっていました。ところが、国連危険物指定になっており、その中には「食品や飼料と一緒に輸送してはならない」の一文が・・・わさびって食品と一緒に輸送しちゃいけない物質だったんですね・・・。


 

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