2002/01/13
ノーワックス果物の話3
続きです。
2,4−Dは吸入した場合の毒性は高いのですが、経口では半減期が極めて早く(数時間)、慢性中毒性はほとんどありません。発ガン性に関しても、ラットテストでは発生していますがジェネリックマウスでのテストでは発生していないようです。それでもFAO/WHO基準(国内基準だと「厚生省は甘い」とか「いいかげんだ」とか「信用できない」という反論を食らいそうなので、米国基準や国際基準をわざわざ用いている)での経口基準は2ppmです。前述のデータでは最大で0.11ppm。話になりません。はい、消えました。それでは、イマザリル行きますか(OPPやTBZは現在はほとんど使われていない上、ワックス入りでも洗うと簡単に落ちてしまうような根性の無い農薬なので省く)。イマザリルは男性用経口避妊薬の原料です。子供の出来ない体になってしまう!いや、避妊の必要が無くなると言って喜ぶ人もいるかもしれませんが。調べてみると、FAO/WHO基準では5ppmとなっております。前述のデータでは4ppmと、基準値こそ下回っていますが、かなり高い数値ですから、これが問題なのでしょう。実際、この国際基準が甘いという話もありますし。ただ、問題なのはイマザイルは浸透性が高いため、ノーワックスだろうとワックス入りだろうと洗った場合に落ちる量に大した変わりは無いんですよね。しかも、イマザリルは日本ではみかんに限って使用が禁止されています。日本人は他の国に比べてみかんを多量に食べるため、使用を禁止しているのです(本当。ニュージーランドからのクレームに対して厚生省が出した回答書に記載されている)。
結局「ノーワックスだから安全」の根拠がまったくわかりませんが、ノーワックスは安全と言っているのですから、きっとイマザイルのような農薬を使っていたとしても、安全です。ワックスは農薬を使ってるいないに関わらず危険です。ノーワックスを謳うことで価格が吊り上げられるとか、消費者受けするから安全と言っているわけではありません。たぶん。


 

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