2002/01/02
イスラムの話1
さて、今回のテーブルトークは、かなり禁忌に近い、宗教系の話です。しかも、イスラム。あ、イスラムとはそれだけで宗教という意味を持つため、敢えて「教」を除いてあります。イスラム教という言いかたは神道教のようで変なので。
まずはいつものとおり、イスラムの歴史を漁ってみましょう。イスラム成立は7世紀初頭あたりです。当時のアラビア半島はセム族と呼ばれる民族が互いに戦闘を繰り返していました。これはアラブ民族全体の特徴なのですが、個々の戦闘能力はずば抜けて高いにも関わらず、他血族と団結するということがほとんどなく、互いに争うのみだったのです。これは以前にハムラビ法典の件で書いたことですが、まさしく目には目と歯と命を的な争いが多く、一人殺されたら部族皆殺し、生き残った部族が報復で相手を皆殺し、というかなり陰惨な状況でした。宗教的にはアニミズムに近い多神教(ただし、日本神道のような擬人化されたものではなく、むしろアフリカに見られる動物霊的なアニミズム)で、各部落ごとに神が存在し、その神によって戒律も違えば体系も違うという、てんでばらばらな状況でした。さて、そんな状況下でマホメット(発音を忠実にするならムハームドだが、一般的なマホメットで表記する)は誕生しました。マホメットは商業都市メッカの名門、コライシュ族ハーシム家に属していました。マホメットは自身が生まれる前に父を亡くしており、母も6歳のときに亡くなり、祖父に引き取られますが、今度は祖父が8歳で亡くなり、叔父に引き取られるという具合に、幼少の頃に不運にみまわれます。しかし、天はマホメットを見放しませんでした。彼は非常に優秀な商人として成長し、自分の属していた商隊のパトロンであったハーディージャと結婚します。跡取となる男児にこそ恵まれませんでしたが、彼はそのまま平穏無事の生活を送ります。彼が40歳になったとき、メッカ北部にあるヒラー山の洞窟で瞑想をして、初めての啓示を受けるのです。
続きます。


 

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